金融腐蝕列島-呪縛- 90点 ◎

男達が飛び交わす怒号に痺れまくり!

金融業界の内幕を描きベストセラーとなった高杉良の同名小説を、原田眞人が映画化。長年続けてきた総会屋への不正融資がたたり、ついに検察の強制捜査が入ることになった朝日中央銀行(通称:ACB銀行)。この事態に経営陣はパニックに陥るも、行内の権力者である佐々木相談役の顔色を窺ってばかりだった。この事態に奮起した4人の中間管理職(通称:ACBミドル)の男達は、悪しき因習を断ち切り、銀行の再建を図るための戦いを開始する。 上層部、地検、マスコミ、総会屋、すべてを敵に回した命懸けの銀行改革は、果たして成し遂げられるのだろうか?

ということで「金融腐蝕列島-呪縛- 」を観ましたが、この映画はめちゃくちゃ役者が輝いていますね。銀行再建に魂を燃やすACBミドル(中堅社員)に役所広司、椎名桔平、矢島健一、中村育二。老害と化したACBのボスに仲代達矢。ミドル達をバックアップする上層部の理解者に佐藤慶、石橋蓮司。真相究明委員会の弁護士にもたいまさこ。ACBを襲う特捜部のリーダーに遠藤憲一、ブルームバーグTVの女性アンカーに若村麻由美と、素晴らしい役者達が魅力的なキャラクターを演じ、組くんず解れつ乱れながら、銀行、検察、マスコミ、総会屋の攻防を描き上げる。男達の激しい怒号の飛ばし合いに、震えるような興奮を覚える一本です。

*以下、ネタバレ含む

この映画の主役である役所広司を始めとしたACBミドルは本当に魅力的ですね、この4人は別に崇高な信念をつらぬく気高き男達ではなく、問題意識を抱えつつも自己保身の意識に負け続けてきた中間管理職の連中だった。それが外部からの圧力による崩壊の危機に瀕してようやく己を奮い立たせる。この「どうせ死ぬなら・・・やってやるよ!!」的な、ギリギリまで追い詰められたが故の覚醒は非常にリアリティーがありますね。4人の動機は、責任感や、反骨心、アイデンティティー、ヤケっぱちなどバラバラですが、魂に火がついたその勇姿は、同じ男として震えるものがありました。

ちなみに僕は、MOF担役の椎名桔平に一番グッときました。過剰接待を武器に大蔵省の官僚から情報を引き出す”汚れ役”という設定がかなり萌えます。特にマザコン変態坊やに対するあの低姿勢は絶品!最後にはバシッと決まる見せ場もあって最高です。椎名桔平は元々好きな役者さんですが、さらに惚れました。

もちろん、主役である役所広司が上司に噛みついたり、仲間と喧嘩して怒鳴ったりするシーンも絶品です。冒頭の調査委員会での「弁護士さんこそ黙っててください!」を筆頭に燃える怒号を吐きまくり!心地よく痺れました。

ちなみに私、原田眞人監督作品はこの「金融腐蝕列島 呪縛」と「クライマーズ・ハイ」しかみていないのですが、この監督、両作品とも登場人物をやたら怒鳴らせますね。こんなにも胸を打つ”怒鳴り合い”は他の映画では観たことがありません。この監督の特徴なのでしょうか?他の作品もチェックして確かめてみたいと思います。ということで、映画「金融腐蝕列島-呪縛-」」オススメです!

P.S.
この映画にはなんと、村上淳、オダギリジョー、三浦春馬といった今をときめく俳優も出演しています(三浦春馬なんてまだ10歳にも満たない子役!)。初々しすぎる彼らの姿も、また一つ楽しいポイントです。

「金融腐蝕列島-呪縛-」
公開:1999年9月18日(土)
配給:東映
監督:原田眞人
脚本:高杉良、鈴木智、木下麦太
出演:役所広司、椎名桔平、矢島健一、中村育二、仲代達矢、遠藤憲一、風吹ジュン、若村麻由美、佐藤慶、根津甚八
上映時間:114分