カイジ~人生逆転ゲーム~ 45点 △

よく頑張った!だが・・・ダメ・・・っ!

<あらすじ>金なし、女なし、やる気なし。典型的な負け組である伊藤開司(藤原竜也)は日々自堕落に暮らしていた。そんな彼の元に闇金の社長である遠藤凛子(天海祐希)が現れる。2年前、軽率にも保証人になってしまった友人の借金を取り立てに来たのだ。返済する宛のないカイジは狼狽するしかなかったが、遠藤は図ったように借金を帳消しにできるゲームへの参加を言い渡す。それは豪華客船「エスポワール(=希望)」で行われる命を賭けた生き残りゲーム!今、借金で首が周らなくなったクズ共の騙し合いのバトルロイヤルが始まる!

ってゆー。福本伸行の人気漫画「カイジ」シリーズが実写映画化されてしまいました。あの独特過ぎる絵、複雑に構築した論理、心を鷲掴みにするパンチライン(=強烈な台詞)、そんな福本漫画の魅力をどこまで実写で表現できるか!?この無謀な映画化の評価ポイントは、どうしたってそこですよね。

今作は、原作で言うところの「限定ジャンケン」「高層ビル鉄骨渡り」「地下世界」「Eカード」「パチンコ~沼~」ら辺までの複数にわたるエピソードを、スクラップ&ビルドして余分な部分を捨て、2時間に収めることにチャレンジしています。

しかし、大方の予想通りこの手法には無理がありました。そもそもで各エピソードには、それぞれ単体で1本の映画になるぐらいのボリュームや深みがあるため、今作のように所々つまみ食いしてムリヤリつなぎ合せても、下手なダイジェストにしかなりません。結果として、原作で得られる強烈な体験とは程遠い薄味なカイジになってしまいました。

『限定ジャンケン』は、時間経過に応じた星とカードの価値変動によって起こるドラマが面白いのに、そこを完全に省略して単なるイカサマ勝負にしちゃってましたし、『高層ビル鉄骨渡り』も「伝われば達する、通じたと信じる」とか「60億の孤独」とか「善悪割り切れない存在としての人間」とかの熱い話を全面カット。単なる「俺は生きてるぞーー!」っていう情緒的なだけの話に成り下がってました。

挙句にクライマックスの『Eカード戦』も不発でした。大衆娯楽にそぐわない「耳そぎ」「焼き土下座」あたりをカットしたのはしょうがないと思いますが、そもそもあの勝負は艱難辛苦を乗り越えた果てに、やっとの思いで敵の本丸にたどり着いたカイジが決死の覚悟で挑んだ勝負なんですよ。何も持たないクズが、連戦連勝の大悪党を相手に"肉を切らせて骨を断つ"場面なんです。だからこそあの勝利に我々は「うぉおおおーーっ!!!」とハートを震えさせたわけだけど、前述の通りこの映画は下手なダイジェストになってしまっているので、主役の藤原竜也が目を血走せて叫べば叫ぶほど、なんだかこっちの気持ちがどんどん冷めていく感じでした。

それに"カイジ的"な演出で重要な「ぐにゃ~!!」をやってくれなかったのも寂しい限りです。「ざわざわ」もアッサリ風味でしたし。この辺は中途半端に手を出すと危ないからかもしれませんが、カイジをやるなら避けて通れない道だったと思います。

ってゆー具合に、原作と比較しちゃうと文句ばかりが口をついて出てくる作品なのですが、この無理難題に立ち向かってなんとか映画のカタチに仕上げたスタッフには"カイジの精神"を感じました。っていうかそもそも無理ですよ!この漫画を実写化するなんて!!(笑) ということで、そんなスタッフへの「お疲れさま」的な想いも込めまして、映画「カイジ~人生逆転ゲーム~」はオススメです!

「カイジ~人生逆転ゲーム~」
公開:2009年10月10日
配給:東宝
監督:佐藤東弥
脚本:大森美香
出演:藤原竜也、天海祐希、香川照之、松山ケンイチ
上映時間:129分