君に届け - 90点 ◎

2010年度の劇場公開映画「さわやか部門」第1位!

<あらすじ>累計発行部数1100万部突破の人気少女漫画「君に届け」待望の実写映画化。素直で純粋な女子高生・黒沼爽子は、見た目の暗さから「貞子」と呼ばれ、クラスではいつも仲間はずれ。みんなが嫌がる雑用をせっせとこなす毎日だった。しかし、その姿をみていたクラスの人気者・風早翔太は、爽子の健気さに好意をよせ、声をかける。風早の言葉を励みに頑張る爽子は、クラスメイトの千鶴とあやねが冗談で言った肝試しのオバケ役を引き受け好評を博す。それがキッカケとなり爽子は千鶴達と親友になっていくが、「貞子と付き合うなんて・・・」という心ない同級生の言葉を耳してしまう。風早、千鶴、あやねに迷惑をかけまいとする爽子は彼女達との距離を置き始めるのだが・・・。初めての友情と、初めての恋心。爽子の想いは届くのだろうか?

映画「君に届け」は、引っ込み思案で一人ぼっちだった女の子が勇気を出して自分の気持ちを伝え、相手の気持ちを受けとめて、友情や恋心を育みながら少しづつ成長していくというストレートな青春映画でした。私はこの作品を気に入ってしまい、実は二回劇場でみてしまったのですが、二回とも爽やかな余韻を楽しみながら劇場を後にすることができました。

ということで、これからいっぱい褒めるわけですが、まずは役者さん達を褒めたいです。まず、主役である爽子を演じた多部未華子ちゃんが本当に良い演義をしていましたね。この役はキャスティングがかなり難しかっただろうと思います。まず前髪パッツンのロングストレートが似合う綺麗な髪質でなければダメだし、笑顔が可愛くなくてはダメ、しかし可愛すぎてはダメ、明るい感じがしちゃダメ、でも暗過ぎで卑屈なのはダメと、ダメダメダメのオンパレード。 非常に狭いゾーンの素質が求められますが、多部未華子ちゃん存在感と演技は爽子を存分に表現していました。彼女のキャスティングでこの映画は8割方勝ちだと思います。

また、爽子と親友になっていく2人組もとても良かった。男勝りで元気な千鶴役に蓮佛美沙子ちゃん、ちょっと大人っぽくて頭のキレるあやね役に夏菜ちゃん。2人とも気持ちの入った演技で本当に素晴らしかったですね。物語の中盤で描かれる爽子・千鶴・あやねの爽子への友情には我慢できずに泣いてしまいました。ハンカチ持っていけばよかったです。

あと、風早役の三浦春馬くんも間違いありませんでしたね。実直で爽やかな好青年を涼やかに演じていました。顔立ちがややシャープ過ぎるので、ときおり神経質な雰囲気が出ちゃってるのが気にはなりましたが。「じゃ他に誰か風早やれるヤツいる?」と言われれば見当たりません。三浦春馬はベストチョイスだと思います。

脇役ものきなみ素晴らしく、やたら声の大きいボンクラ教師役のARATA、恋敵で小悪魔なくるみちゃん役の桐谷美玲(あの告白シーンの唇ぴくぴく演技は神)、落ち込んでる千鶴を丘で待つ龍役の青山ハル、お父さんお母さん役の勝村政信&富田靖子...etc みなさん良い仕事をしていました。

この映画を観てると、なんだか最終的に全員のことを好きになっちゃうんですよね。私は爽子に酷いことするくるみちゃんや、トイレで戦ったあの子でさえも好きなのよ。みんなの幸せを願うような優しい気持ちになりました。これはきっと爽子が元々持っていた博愛の心が、爽子のアクションを通じて私に伝播してきたからだと思います。

気持ちを伝える喜びを知った爽子は、「ちゃんと伝えれば人は絶対にわかってくれる」という愚直なまでの純粋パワーを発揮して、すべての事件にきっちりケジメをつけます。爽子が本気で向き合ってくれたからこそ胸につかえた想いをすべて吐き出せたくるみちゃん。爽子が諦めなかったからこそ「悪口を言って人を傷つけた」という後悔を背負い込まなくて済んだトイレのあの子。最後はみんな笑顔で新年を迎えることができた。

このように、性善説に立脚し人間の良心を体現したかのような「爽子」というキャラクターを、こんなにも魅力的に描ききった今作は、「希薄な人間関係が云々・・・」というニヒリズムが蔓延する今の世の中に向けた、最高の処方箋映画だと思います。

今年劇場で観賞した映画の「爽やか部門」ベスト1決定です!

「君に届け」
公開:2010年9月25日
配給:東宝
監督:熊澤尚人
脚本:根津理香、熊澤尚人
出演:多部未華子、三浦春馬、蓮佛美沙子、桐谷美玲、ARATA、勝村政信、富田靖子
主題歌:flumpool「君に届け」
上映時間:128分