ユージュアル・サスペクツ - 50点 △

図式的トリックはお見事。でも、それがどうしたのだろう?

<あらすじ>カリフォルニア州サンペドロ港で起きた貨物船襲撃事件の謎を、事件で唯一生き残った男、ヴァーバル・キント(ケヴィン・スペイシー)の回想によって語り起こしていくサスペンス・スリラー。混迷する捜査線上に浮かび上がった事件の首謀者、カイザーソゼ。全ての元凶と事件の謎を説く鍵はこの男の正体にあるようだが・・・。一体なぜ貨物船は襲撃されたのか?なぜヴァーバルは生き残ったのか?カイザーソゼとは何者なのか?というお話。

映画「ユージュアル・サスペクツ」は綿密に練られた脚本とその帰結の意外性が最大の見所で、それが「究極のサスペンス!」や「映画史上最高のドンデン返し」という褒め言葉となって流布されているわけですが・・・最終的に得られる鑑賞後感は「だからどうした?」という寂しいものでした。

この映画を観た大半の観客は最大の謎である「カイザーソゼって誰なのよ?」という推理をしながら物語を追いますよね。そして最後の大ドンデン返しによって「自分が物語内に限定された空間で推理させられていて、その行為自体が実は神(≒脚本をどうとでも操れる人物≒?)に弄ばれていた」ということに気付く。この図式的トリックには大層感心したのですが・・・そのトリック部分を差し引いてしまえばただの凡庸なギャング映画。そんな印象を受けてしまいました。

観終わった後、自分の中にある何かと化学反応を起こして人生が豊かになる。そういう映画こそが(少なくとも私にとっての)傑作なわけで、今作はそういう意味では傑作たりえませんでした。

「ユージュアル・サスペクツ」
公開:1996年4月13日
配給:アスミック・エース
監督:ブライアン・シンガー
脚本:クリストファー・マッカリー
出演:ガブリエル・バーン、ケヴィン・スペイシー、ベニチオ・デルトロ