クローズZERO - 79点 ◯

頂上(てっぺん)獲ってどうすんのか?は獲ってから考えりゃイイ。

累計発行部数3,200万部を超える高橋ヒロシの人気コミック「クローズ」の実写映画化。監督は鬼才・三池崇史。出演は小栗旬、山田孝之、高岡蒼甫、桐谷健太ら人気の若手実力派俳優達。最凶のワルガキ共が集まる鈴蘭男子高校の覇権争いを描く、痛快ヤンキーアクション映画。

「鈴蘭の頂上(てっぺん)を獲る!」という単純な物語構造の中に、ひたすら男達の喧嘩アクションを詰め込みつつも、単なるヤンキー同士の抗争だけには終わらせず、主人公の人間的成長もちゃんと描く。私、こういう映画好きです。

ストーリーはシンプルで、喧嘩は強いが人付き合いが下手な一匹狼・滝谷源治(たきやげんじ:小栗旬)が、鈴蘭OBのチンピラである拳さん(やべきょうすけ)と出会い、彼の導きに従って仲間を集め、チームGPSを結成し、鈴蘭最強の男・芹沢多摩雄(せりざわたまお:山田孝之)率いる最強軍団に戦いを挑むというお話。(*GPS=GENJI PERFECT SEIHA)

*以下、ネタバレ含む

この仲間集めのプロセスには人間関係構築論やリーダー論が示唆されていて非常に面白かった。自分のクラスは喧嘩の実力で圧倒し、3年C組の頭・牧瀬とは合コンで友情を培い、3年D組の頭・伊崎には集団リンチを耐え抜くド根性を見せつけ掌握。という具合にバラエティー豊かに人間関係構築の有り様を表現します。この「喧嘩が強いだけでは人の上に立つことはできない。」というメッセージは至極まっとうで共感的でした。

喧嘩アクションシーンも見所たっぷりで、迫力のある音響、コマ落としによるスピード表現、スローと早回しを駆使した緩急表現など、時に軽快に、時に重厚に、あの手この手を駆使して楽しませてくれます。

関心したのはロッカーの使い方。鈴蘭高校には廊下はもちろん、なぜか中庭や校庭にもロッカーが転がってまして。喧嘩が起きて人がロッカーにぶつかったり、倒したりする度に「ガンッ」というあの独特の音が鳴って迫力が3割増しになってました。

中盤の源治がヤケを起こすシーンも面白い演出でした。源治が暴れてる最中は音楽をガンガンにかけつつ、牧瀬が止めに入ると声がギリギリ聴こえる程度にボリュームダウンする、源治がまた暴れ初めると再びボリュームアップ!みたいな。この源治のテンションと音量とのリンク表現は気持ちよかったです。

そして何といってもクライマックスとなる芹沢軍団との直接対決シーンは燃えましたね。というか燃え尽きましたね。この雨の中の合戦シーンは、それ単体にもドラマがあって素晴らしかった。特に決戦中盤の黒木メイサのバラード曲をBGMにした男達の止められない衝動が火花と共に咲いて散っていくようなスローモーションと、夕日が2人を美しく染め上げる中で戦う、最後の滝谷vs芹沢のタイマンシーンは感動的。男達が暴力で真っ白になっていく様は壮観でした。

ということで私、映画「クローズZERO」を超楽しみました。一般的な価値基準からいくと、別に鈴蘭を制覇しようがお金がもらえるわけじゃなし、卒業してしまえば何の意味もなくなる。そんな称号に一体どんな価値があるのか?なんでここまでやるのか?と思うわけですが。自分の内から湧き上がる衝動に従い、目の前にある目標に向かって真っすぐ突き進む勇気は、子供も大人も関係なく大切なことです。

大人になると、やってみたいことがあっても「それをやって一体なんになるのか?」と考え込んでしまいますが、そんなことはやってから考ればイイわけで、価値だの意義だのをゴチャゴチャ考えずに、”やってみたい!”と思った直感を信じて行動に移すべき。でないとチャンスはすぐさま通り過ぎていってしまう。これは鈴蘭制覇とかに関係なく、仕事でも恋愛でもそう。つまり人生なんて「YOUがCANなら今すぐDOしちゃえよ!」なわけです。で、壁にブチあたったらそこで初めてTHINKすりゃいい。

そんな心持ちで、源治や芹沢の真っすぐで熱い生き様を見ていると涙が出そうになります。彼らの傷だらけのアクションに胸が熱くなったのはきっと多分そういうこと。三十路を越えてから観るヤンキー映画は、社会に出て働き始めた二十代とはまた別の味わいがありますね。とっても楽しかったです。ということで、映画「クローズZERO」はオススメです!

P.S. ヤクザ、警察、女などの周辺要素は、男達の戦いに水を差さない程度に留めるという判断もバッチリだったと思います。

→次作「クローズZERO II」の批評はこちら

「クローズZERO」
公開:2007年10月27日
配給:東宝
監督:三池崇史
脚本:武藤将吾
出演:小栗旬、山田孝之、黒木メイサ、高岡蒼甫、桐谷健太、やべきょうすけ、遠藤憲一
上映時間:130分
興行収入:25億円