クローズZERO II - 79点 ◯

高い期待のハードルを、ちゃんと超えた優秀な続編。

<作品紹介>高橋ヒロシ原作の大人気コミック「クローズ」を完全オリジナルストーリーで実写映画化した「クローズZERO」の続編。前作に引き続き監督は三池崇史。出演は小栗旬、山田孝之、高岡蒼甫など鈴蘭の主要キャストはそのままに、因縁のライバル校・鳳仙学園のトップに金子ノブアキ、三浦春馬などが名を連ねる。

<あらすじ>芹沢軍団との死闘から8カ月。真の鈴蘭制覇を目指し、規格外の怪物・リンダマンに戦いを挑み続ける源治(小栗旬)だったが、未だ一度も勝つことができずにいた。そんな時、鈴蘭と長年の因縁関係にあるライバル校・鳳仙学園との間で揉め事が起こる。2年前の抗争で死者を出した両校は休戦協定を結んでいたが、事情を知らない源治が手を出したことにより再び抗争が勃発してしまったのだ。今だ鈴蘭を統一できていない源治達は、鳳仙との戦争に勝利することができるのだろうか―。

喧嘩は強いが人付き合いが苦手で一匹狼を気取っていた男が、仲間の大切さに気づき、絆を育んで、学校制覇という目標に向かって突き進む。そんなワルガキの生き様を描いた前作「クローズZERO」は、素晴らしい人物造形のキャラクターや、ケレン味溢れる喧嘩アクション、「力だけでは人の上に立たてない」という共感的なメッセージがとても魅力的な、とても楽しい映画でした。

そして、その続編となる今作は、前作からの残課題である鈴蘭制覇の行方を、新たに現れた外敵・鳳仙学園との戦争を通じて描き上げるという内容で、クローズZEROシリーズにケジメをつける完結編。

既に人間的成長(脱・一匹狼きどり)を遂げている主人公のその先の物語をどう描くのか?今だ一つになっていない鈴蘭高校が、統率の取れた武闘派集団である鳳仙学園にどう勝つのか?この辺りに注目しながら観賞したのですが、なかなかどうして、それぞれにキッチリとした結果を出してくれましたね。期待値のハードルがかなり上がっていたことを考えると、この続編は大成功だと思います。

*以下、ネタバレ含む

クローズZEROシリーズの魅力は、なんといっても小栗旬や山田孝之、高岡蒼甫らが演じるキャラの起ったヤンキー達の活躍(というか喧嘩)なわけですが、今作もその魅力はバッチリ踏襲されていましたね。特に今回は、鳳仙との戦争に向けての、GPS(源治のチーム)と芹沢軍団の共闘を懸けた芹沢(山田孝之)vs伊崎(高岡蒼甫)のタイマン勝負が一番素晴らしかったです。

伊崎が「この3年間いつも目の前にテメェがいて、視界がボヤけてしょーがねぇ、俺が勝ったらGPSに入れや」と喧嘩を売って、それを受けた芹沢も「そういやぁお前とヤるのは初めてだなぁ・・・」つってイキナリ殴りあいが始まっちゃうあのスピード感。最高ですね。

ちょっと深読みすると、きっと伊崎は3年間ずっと芹沢との直接対決を避けて勝機をうかがってきた頭脳派な男なんだよね、そういう賢いヤツだからこそ無鉄砲で真っ直ぐな源治に惹かれた。今まで「なんで伊崎はGPSにつくんだっけ?」っていう疑問を感じなくもなかったので、これでスッキリしました。しかもこのタイマンは、頭良さげな理由で芹沢との勝負から逃げてきたテメェへのケジメの意味もある。こりゃ燃えるしかないよね。

あと今回登場してきた、鳳仙学園の頭の鳴海大我(金子ノブアキ)も最高でした。ヤクザキックの喧嘩アクションも良かったんだけど、彼は台詞がイイね。「男に生まれて良かったなぁーーっ!」とか、「俺は本物の男の匂いを嗅ぎ分けられる」とか、「人間は動物だぁーーっ!」とか。この男の妙な台詞まわしに燃えている(≒萌えている)俺がいましたよ。

ということで、キャラ起ちOK、喧嘩OKな「クローズZERO II」なわけですが、一番肝心な”源治の成長描写”についてはどうだったか?私はここを一番心配していたのですが、なんとまぁキッチリと描いてくれたことか。さらなる成長譚をキチンとみせてくれました。

今作における源治のさらなる成長は、鳳仙との戦争に向けて取った「Monologue(独白)」と「Sacrifice(犠牲)」によって示されます。(*英語で言うとなんかカッコイイので使ってみました)

鈴蘭をまとめきれないまま決戦を明日に控えた源治は、校内放送を使い全校生徒に向かって自分の心象を吐露し、決戦への参加を募ります。今までカッコつけていた自分の飾りを脱ぎ去り、裸になって参加を頼むというこの姿勢。くだらないプライドを捨てる勇気。また一つこの男が成長したことがわかります。

しかし、決戦当日に集まった人数は、とてもじゃないが鳳仙を倒すには足らないという結果に終わってしまう。この状態では負けが目に見えていると悟った源治は、負け犬になったフリをしてみんなと別れ、たった一人で敵陣に殴り込みをかけるという行動をとります。そして、この犠牲的な行動が芹沢軍団を動かし、鳳仙と互角の死闘を繰り広げるという感動的な展開を遂げます。

いやはや、続編を観賞するにあたって心配していた「源治の成長はもう前作でやっちゃったじゃん?」という懸念は取り越し苦労でしたね。前作ファンの期待に応えた素晴らしい映画になったと思います。

P.S.
喧嘩アクションにおける新しい表現がなかったのがちょっと残念でした。

→前作「クローズZERO」批評はこちら

「クローズZERO II」
公開:2009年4月11日
配給:東宝
監督:三池崇史
脚本:武藤将吾
出演:小栗旬、山田孝之、三浦春馬、黒木メイサ、高岡蒼甫、桐谷健太、金子ノブアキ
上映時間:133分
興行収入:30.2億円