GANTZ/ガンツ - 53点 O

ルックスはOK!でも「GANTZってそういう話だっけ?」感が・・・。

<作品紹介>日本のみならず欧米でもカルト的な人気を誇る奥浩哉の人気コミックを、前・後編の2部作で映像化したSFアクション。主演は初共演となる二宮和也(from 嵐)×松山ケンイチの若手実力派俳優コンビ。共演には夏菜、本郷奏多、田口トモロヲ、吉高由里子など。監督は、「砂時計」の佐藤信介。

<あらすじ>さんざんな結果に終わった就職面接の帰り。駅のホーム。主人公・玄野(くろの:二宮和也)は偶然再会した小学生時代の親友・加藤(松山ケンイチ)と共に、酒に酔って線路に落ちたホームレスを助けようとして電車に轢かれ死んでしまう。しかし、次の瞬間、彼らは見知らぬマンションの一室にいた。そこには死者が集められており、部屋の中央には謎の大きな黒い球が・・・。そして死者達は「ガンツ」と呼ばれるその球に“星人”と戦うように指示され、バトルフィールドへと転送されていく。目的も、理由もわからないまま、謎の星人との戦闘に放り込まれた玄野と加藤はどうなってしまうのか!?

「GANTZ」はもとより、短編集の「赤」「黒」、いやデビュー作「変[HEN]」からしてそうですが、奥浩哉の作品は、物語やテーマをきちんと語り起こすというよりも、魅力的なキャラクター造形や独創的な世界観、そして“俺たち”の需要に応える過激描写、フェティッシュな性描写といった表現(≒おそらくは作者本人の快楽原則に則った表出)で読者を魅了し、そのラッシュの中で時折 “何か”がアレゴリカルに浮かび上がるような作風ですよね。

そして、その内容は暴力や性愛といったタブーを巨乳で彩ったものが主(笑)そんな特異な奥浩哉作品を日本テレビが主導してどんな映画にするのか?(いや、できるのか?)とても着目していましたが、結果的にはTVサイズに漂白された無難なSFアクション映画になっていましたね。

そんなPG12レベルに漂白された「暴力」や「性愛」そして「巨乳」描写はコアなGANTZファンからすれば「こんなのGANTZじゃないやい!!」とスネたくなるわけですが、映画的なルックスは非常に良かったので、(第二部への期待も込めて)それなりに楽しめる作品ではあると評価したいです。

特にガンツスーツ(ヱヴァンゲリヲンのプラグスーツの黒版みたいなの)や武器(Xガン、Yガン、Xショットガン、ガンツソード)などの小道具のクオリティーが高く、ロケーションやセットも上々、役者のキャスティングもバッチリなため、見た目的な文句はゼロ、というか100点満点じゃないでしょうか。予告編で抱かせた「おっ!ちょっとカッコイイかも!!」というビジュアルへの期待にはバッチリ応えてくれました。

星人達とのバトルも軒並み及第点をあげたいレベルで、ステージが進むにつれて見せ方がどんどん雑になっていった感は否めないものの、なんだかんだで楽しかったな、という観賞後感を味わうことができました。ま、「はやく撃てよ!!」的なフラストレーションの溜まる展開や、「あれ、そんなんで終わっちゃうの?」みたいなスケールダウン、大ピンチなのに延々と愁嘆場を繰り広げる演出なんか嫌気がさす場面もチラホラありましたが、こういうのはもはやTV局が制作する映画にはありがちで、免疫ができているので目くじら立てて怒る気はしません。

それよりもなによりも、1つとても心配な点があります。主人公・玄野が冒頭の就職面接シーンから終盤にかけて台詞で劇中3回も「人間には誰しも役割がある云々・・・」的なコトを言うのですが、まさか・・・GANTZで「世界に一つだけの花」的な、君もオンリーワンだよみたいなことは語らないですよね?GANTZでそんなこと語られた私、発狂してしまいうかもしれません。

あと、これはこの映画最大のダメポイントなんですが、川井憲次の音楽がイマイチでした。GANTZのイメージに全然あってなかったし、そもそもでサウンドが古臭いです。ここ最近の押井守作品でもちょっと引っかかってましたが、川井サウンドってちょっと賞味期限切れ感が出てきてませんかね?パトレイバー時代は「最高!」って思ってましたけど、このGANTZの音楽は超ダサく感じました。特にエンドロールの曲なんか最悪。中途半端なパトレイバー感とにわか仕込みの前衛感(低音コーラスのサンプリング)の折衷みたいな雰囲気がとてもダサく、恥ずかしくて聴いていられませんでした。

ということで音楽はもういっちょだったのですが、前述の通りビジュアルはホント素晴らしく、その見た目的な説得力で「何だかオッケイ!」な気分にさせられたのは事実。第二部に期待感をつなぐという役割は果たせています(ちなみに私は100%第二部も観に行きます)。というコトで今回は甘めに評価してみましたが、スタッフの皆さんを応援する意味でも映画「GANTZ」オススメしちゃいます。でも、次はもっとGANTZらしい描写の大盛りを期待していまス!

P.S. 今思い出したんですが、劇中数回ある転送シーンがかったるすぎて眠くなりました。アレは一回みせたら後は飛ばしてOKです。

→後編「GANTZ PERFECT ANSWER」の批評はこちら

<キャスティング>
玄野計:二宮和也/加藤勝:松山ケンイチ/小島多恵:吉高由里子/西丈一郎:本郷奏多/岸本恵:夏菜/謎の集団のリーダー:綾野剛/謎の集団の少女:水沢奈子/加藤歩:千阪健介/桜井弘斗:白石隼也/鮎川映莉子:伊藤歩/鈴木良一:田口トモロヲ/重田正光:山田孝之/杉本カヨ:市川千恵子/杉本亮太:春名柊夜

<キャッチコピー>
「残された最後のカリスマコミック、禁断の実写映画化」
「試されるのは、友情でも愛でもない、生存本能」

「GANTZ」
公開:2011年1月(前編)2011年5月(後編)
配給:東宝
監督:佐藤信介
原作:奥浩哉
脚本:渡辺雄介
音楽:川井憲次
出演:二宮和也、松山ケンイチ、吉高由里子
製作費:40億円(2作合計)