GANTZ PERFECT ANSWER - 48点 △

愛と友情が駆動した自己犠牲と秩序回復の美談・・・なの?

<あらすじ>幼なじみの加藤を生き返らせるべく、日々ガンツのミッションに参加していた玄野。そこへ突如加藤が現れる。不可解な加藤の復活に呼応して起こり始めるガンツの異変、そして次なるターゲットは絶望の淵にいた玄野を救った小島多恵だった・・・。終わることのない戦いの中、玄野と加藤が下した究極の選択(≒PERFECT ANSWER)とは―。

ということで人気カルト漫画「GANTZ」の実写映画化第二弾、題して「GANTZ PERFECT ANSWER」を観たわけですが、なかなかどうして、”完璧な答え”と銘打たれた今作を観た僕の頭は疑問符でいっぱいです。パーフェクトアンサーとは一体何なのか?原作が未完の段階でこの題名をつけたその度胸は買いたいところですが、大風呂敷を広げた割には今いち釈然としない結末でしたので、これは集客戦略上のハッタリだったと解釈せざるを得ません。

原作を読んだ観客であれば尚更ですが、この強烈な題名が抱かせる期待は、当然ながら「GANTZって何?」、「星人って何者?」、「いつ地球にきたの?」、「何人いるの?」、「なんで戦ってるの?」といった謎に対する回答なわけですが、今作にはその答えが無いどころか、星人達が人間に向けて放つ文脈性を欠いた怨念の表明がむしろ謎を深め、混乱を誘っていきます。

100歩譲れば、謎をウヤムヤにした制作者の意図は理解できなくもありません。このGANTZという謎の球体が仕掛ける不条理は単なる物語を駆動させるための装置であって、その謎の究明を描きたいわけではなく、その不条理に見舞われた人間たちの悲壮なドラマをこそ見せたいのかもしれません。そして、主人公の”あの最終選択”こそが「パーフェクトアンサー」なのでしょう。それはわかります。わかるんですけど、何なのでしょうか?この古くさい昼ドラを見た後のような、しょっぱい観賞後感は?

※以下、ネタバレっていうか

GANTZが仕掛ける不条理を無理やり深読みして作文すれば、人間誰しもがその生において逃れられない闘争や支配、収奪のメタファーとして受け取れるかもしれません。「無自覚に殺し合う命達・・・」のように、星人達との果てしない戦いを、vs人間(=覇権闘争、疑心暗鬼)、vs動物(弱肉強食、家畜化)、vs自然(環境破壊、汚染)などなど、いろいろな比喩として当てはめることができるかもしれない。そして、そのモロモロに安易なアンチテーゼを唱えるようなナイーブな姿勢ではなく、「そういう不条理こそが世界そのものであり、それを成立させる為にさえ犠牲が伴っているのだ」という調子の、なにやら深遠で、意味あり気な話に受け取れるっちゃ受け取れるんですけれども・・・これって殆ど私の作文ですよね。この映画をそういう視座で楽しむのはかなり無理があります。

だからこそ、そういったテーマの深読みよりもGANTZというマクガフィンが駆動している人間ドラマに注意がいってしまう。それは多恵ちゃんとの恋愛や、幼馴染である加藤との友情、加藤兄弟の兄弟愛といった件なんだけど、これがまたひどく断片的でかつ浅薄な描写なため、それらを守るために払われた主人公の自己犠牲と仮初めの秩序回復がとても矮小なモノに感じられてしまいました。

それに、犠牲の内実もかなり飲み込みずらいものでした。それは自身の電池切れ(=電源として玉の中に繋がれてる人間の寿命)が迫っているGANTZが、玄野に”電池になってもらう”ことを頼むという突拍子もない内容な上に、GANTZと玄野にどういう交流があったかはもとより、玄野が選択の葛藤を抱えているような途中経過も一切描かれないため、取ってつけた感が激しかったです。というか、そもそもあれだけハイテクなGANTZに電池切れが起きるという事態そのものが釈然としませんし、あろうことかあの傲岸不遜なGANTZが最期に「ありがとう」とかお礼を言っちゃう始末。一体なんなんでしょうかコレは。

それまでGANTZは「てめぇ達の命はなくないました新しい命をどう使おうと私の勝手という理屈なわけだす」とかって態度の不敵な存在だったじゃないですか。あれだけ人間を好き勝手に弄んでたのだから、誰か適当なヤツを勝手に電池にしちゃえば良くね?と思うのが普通の感覚ですが、劇中では悲壮な決意を抱えた玄野が自己犠牲を選択し、GANTZはその行為に感謝の意を示します。さらに、よくよく考えたらこれ以上犠牲者を出さない為にはGANTZの電池は切れてしまった方がいいのに、エンディングでは「こうして平穏な生活が戻ってきた・・・」的なニュアンスの後日談さえ描いてしまう。これはもはや腑に落ちないというよりもシラケてしまうるレベルです。

という具合に、残念ながら「GANTZ PERFECT ANSWER」は「どこがパーフェクトじゃい!?」とツッコミを入れざるをえない根本的な欠陥を抱えています。さらに、その他にも田口トモロヲの矛盾した行動、水沢奈子ちゃんのガッカリパ○ツ、山田孝之の意味無しっぷりなどのウィークポイントが多々散見される作品なので、観賞に際してはぜひ注意していただきたいのですが、映像的な品質は高いですし、二宮和也、松山ケンイチ、綾野剛、吉高由里子などの演技が光るポイントもいくつかありました、それに私の作品に対する期待値が高過ぎた感もありますので、フツーにみれば普通に観れる映画だと思います。

ちなみに二宮和也 vs 綾野剛の地下鉄バトルはちょっと良かったです。CGを駆使した映像の迫力もさることながら、綾野剛の人ならざる存在感がよく表現されたアクションが実に素晴らしかった。彼は「クローズZERO II」の喧嘩シーンでも見事なアクションシーンを見せていましたが、今後の出演作もチェックしたくなる俳優さんですね。あと、多恵ちゃんを背負ってビルの屋上をピョンピョン飛び回る光景には、紀里谷和明監督の「GOEMON」を観ているような既視感を覚えつつ、なんだか面白かったです。

→前篇「GANTZ/ガンツ」の批評はこちら

「GANTZ PERFECT ANSWER」
公開:2011年4月23日
配給:東宝
監督:佐藤信介
原作:奥浩哉
脚本:渡辺雄介
音楽:川井憲次
出演:二宮和也、松山ケンイチ、吉高由里子、伊藤歩、田口トモロヲ、山田孝之、綾野剛、本郷奏多、水沢奈子
製作費:40億円(2作合計)
上映時間:141分