もしも昨日が選べたら - 63点 ◯

仕事中毒のお父さん必見の人格改造セミナー映画!

<あらすじ>建築デザイナーのマイケルは、家庭を顧みない仕事人間。美しい妻と二人の子供たちは、楽しみにしていたキャンプも行けず、寂しい思いをしていた。働きすぎのマイケルは、自宅でどれがテレビのリモコンかも分からない。そこで彼は、最近流行りの”マルチリモコン”を買おうと、深夜も営業しているホームセンターに出かけた。そこでマイケルは怪しげな従業員・モーティから何でも操作できる最先端のリモコンを無料でプレゼントされる。”無料ほど高い物は無い”と怪しむマイケルだったが、実はそれは、電化製品はおろか、人や時間までも操れる、夢のマルチリモコンだった!!

映画「もしも昨日が選べたら」は、仕事ばっかりで妻や子供をないがしろにしてるお父さん必見の、笑って泣けて最後は反省できる、なかなかおトクな映画でした。

まず特徴的なのは”人生を操作できるリコモン”というガジェットですが、こんなのAVでしか見たことないですよね。こんなネタを56億円もかけて本気でやる姿勢が素晴らしいと思います。自分の思い出を巻き戻して観賞し、うるさい犬の鳴き声は消音。嫁さんとの口論や、車の渋滞、面倒なお付き合いは早送りで快調にかわし、腹の立つ相手は一時停止してストレス発散。まるでDVDプレイヤーで映画を操作するかのように人生を操作する描写がなかなか面白かったです。

それに電化製品の学習機能(前回の操作を覚えている)によって主人公の人生が制御不能に陥っていくというアイデアも風刺が効いていてニクイ。頭良さ気なフリして全然使えない電化製品にイライラした経験は誰しもありますよね。

物語の構成も上手で、前半さんざん笑わせておいて、後半はシリアスなトーンに突入し、じっくりとテーマの描き込みにかかるという、コメディ映画のセオリーに則った仕方。集中力を途切れさせることなくエンディングまでキチンと連れて行ってくれます。

テーマも非常に共感的。家庭を顧みない仕事中毒の男が、人生を操作できるリモコンを手に入れて、最初はトントン拍子でハッピーになるも、次第にリモコンに人生を支配されてメチャクチャになり、ボロボロになりながら本当に大切なモノに気付かされていく。

一度非日常に飛翔し、価値基準を破壊される体験を経て変心が起こり、違う自分に生まれ変わって日常に着地する。この段取りはデヴィッド・フィンチャー監督の映画「ゲーム(1997)」にも通じる人格改造セミナー感があって面白かったです。ま、最後は「あぁ〜それやっちゃうんだ!?」っていうベタな展開なのですが、こういう類のカタルシスは全然わるくないです。107分という上映時間も小気味良くて、気分スッキリで終幕を迎えられました。

あと、今作は結構な有名人が出演していますので、その辺りも楽しめました。「ヴァン・ヘルシング」や「アンダーワールド」でもろアマゾネスな雰囲気だったケイト・ベッキンセイルが家庭的な美人の奥さんをやっていたり、「ナイトライダー」で悪を倒す正義のヒーローだったデビッド・ハッセルホフが破天荒な上司役だったり、「スリーピー・ホロウ」で首なし騎士だったクリストファー・ウォーケンが主人公にリモコンを渡す奇妙なスーパーの店員だったりと、なかなか味わい深いキャスティング。子役2人も可愛くて、演技も上手くとても好印象でした。

ということで映画「もしも昨日が選べたら」、一見の価値アリです!!

P.S.
文中では触れませんでしたが、「バタフライ・エフェクト」のような「なんでこうなっちゃうのよ!!」感や、「カラフル」のような神の思し召し感なんかも微妙に入ってて、そういう部分も結構面白かったです。

「もしも昨日が選べたら(原題:Click)」
公開:2006年9月23日
配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
監督:フランク・コラチ
脚本:スティーヴ・コーレン、マーク・オキーフ
出演:アダム・サンドラー、ケイト・ベッキンセール、クリストファー・ウォーケン
製作費:$70,000,000(約58億円)
上映時間:107分