キス&キル - 64点 ◯

「ナイト&デイ」から面白さ30%OFF!でもフツーに楽しい

<作品紹介>フォロワー数500万人を超える“Twitter王子”ことアシュトン・カッチャーと、海外ドラマ「グレイズアナトミー」でブレイクしたキャサリン・ハイグルを主演に迎えたラブコメ・アクション!

<あらすじ>
彼氏にフラれ、傷心のまま家族との旅行に出かけたジェンは、旅先のニースで理想のイケメン・スペンサーと出会う。二人はたちまち恋に落ち、両親そっちのけでバラ色の日々を過ごしていたが、スペンサーにはジェンに言えない秘密があった・・・。なんと彼はCIAの凄腕スパイで、ターゲットを殺す為、このニースに来ていたのだ!かねてから“普通の生活”に憧れていたスペンサーはジェンとの出会いによってCIAを辞める決意をし、このミッションを最後に引退を宣言するが、組織はそれを許さなかった・・・。

凄腕のスパイだった男が元いた組織から命を狙われ、そのドタバタにヒロインが巻き込まれていくラブコメ・アクションといえば、つい先々月に公開されたトム・クルーズ×キャメロン・ディアスの映画「ナイト&デイ」と似てますが、世界中を股にかけ、ド派手なアクションが盛りだくさんの「ナイト&デイ」に比べて、「キス&キル」はフランスとアメリカの2カ国を股にかけ、ちょい派手めなアクションをするという内容で、そのスケール感は30%OFFといった感じでした。

そこで製作費を調べてみたところ、これがホントに「ナイト&デイ」の30%OFFで、ナイト&デイが約97億円かけたのに対してキス&キルは約62億円と、スケール感30%OFFも納得のいく金額差がありました。

じゃあ、「キス&キル」はつまらなかったのかと言えばそんなことは全然なくて、ラブコメ映画としての魅力は決して引けを取りません。美しいニースで出会い、恋に落ちる二人の初々しい恋愛描写はロマンチックで素敵だったし、彼に気に入られようと頑張って空回りするジェンの姿(フランス語を知ってるフリしたり、呼吸困難になるほどきついドレスを着たり)は笑っちゃうんだけど愛嬌があって可愛らしかったです。(*特にジェンが「あーもうムリ!」みたいになって、ぶっちゃげ始めるシーンは最高!)

しかも、このジェンの描写がラブコメを楽しませるための賑やかしなだけではなく、殺伐とした仕事で心が乾き切っていたスペンサーがジェンに惚れる展開(=彼はジェンみたいな素直で安らかな女性を求めていた)に説得力を持たせる機能も果たしており、なかなか良くできていると感心させられました。

失礼ながら最初はヒロインを務めるキャサリン・ハイグルさんはちょっと華に欠けるなと思っていましたが、このジェン役がジェシカ・アルバとか、スカーレット・ヨハンソンとか、ジェシカ・ビールとかだと、肉体的魅力が前に出過ぎちゃってジェンのあの雰囲気は出ないと思うので、キャサリン・ハイグルさんで正解でしたね。

一方のTwitter王子、アシュトン・カッチャーも魅力十分。逞しい肉体は過酷なミッションを成し遂げるスパイとしての説得力があるし、切なくも優しい眼差しは、国家を守るためとはいえ殺人に手を染めていることへの葛藤を上手に表現していました。もちろん単にイイ男として眺めるだけでも絶品で、顔はイケメンだし、カラダは細マッチョとゴリマッチョの中間の”ちょうど良いマッチョ”な感じで、スゲェカッコイイ。こりゃジェンも惚れますわ、という感じで、アシュトン・カッチャーもバッチリだと思いました。

という具合に、前半のラブコメパートはホント楽しかったので、このままいってくれれば超オッケイ!という感じだったのですが、そこから先のスパイであることがジェンにバレて本格的なドタバタが始まる辺りから、それまであったダイナミズムがスローダウンしちゃうのが「キス&キル」の惜しいところ。

*以下、ちょっとだけネタバレ

後半の攻防戦では、2000万ドル(=16億円)の賞金が懸かったスペンサーの首を狙った刺客がたくさん襲ってくるんですが、観客の興味を持続させる上で重要な”組織側の動機(=大金をかけてまで彼を殺したい理由)”が示されないので、どうにもお話に乗りきれず、物語の推進力が落ちていってしまう印象を受けました。

刺客の一人が「この男は組織を裏切った・・・」とか言うんだけど、それだけじゃ16億円かける説得力としては弱いですよね。まぁ、それなりにドンパチやってくれますし、コメディーリリーフも面白いし、最後には「あ、そういうことかー」みたいなオチもつけてくれるのですが、やっぱり「楽しいなぁーー!!」と素直に感じられた前半と比べてパワーダウンした感が否めません。

冒頭で今作のスケール感は「ナイト&デイ」の30%OFF言いましたけど、こと脚本の練り込み不足ついては50%OFFまで下がっちゃうデキだと思いました。前半が良かっただけにちょっと悔しいですね。しかしまぁ、デートでサクッと観るにはちょうどイイ上映時間(101分)ですし、前半のラブコメ部分はとっても楽しいので、映画「キス&キル」は全然オススメですヨ!!

「キス&キル」
公開:2010年12月3日(金)
配給:ギャガ
監督:ロバート・ルケティック
脚本:T・M・グリフィン
出演:アシュトン・カッチャー、キャサリン・ハイグル、トム・セレック、キャサリン・オハラ
上映時間:101分