大洗にも星はふるなり - 48点 △

このオチなら、途中経過の笑いで満腹にしといてほしい。

<映画の紹介>劇団ブラボーカンパニーの戯曲「大洗にも星はふるなり」の映画化。監督・脚本は同劇団の座長でありTVドラマ「33分間探偵」の福田雄一。出演は山田孝之、佐藤二朗、山本裕典、戸田恵梨香など。ある日、自信過剰の勘違い男・杉本(山田孝之)のもとに憧れのマドンナ・江里子(戸田恵梨香)から「イヴの夜にあの海の家で会いたい」という手紙が届いた。誘いに乗って海の家に行ってみると、そこには同じ手紙を受け取った男達が待ちかまえていた・・・。

ということで「大洗にも星はふるなり」を観賞いたしました。山田孝之や佐藤二朗らの芸達者たちの演技が楽しみな今作、早速評していこうと思うのですが、いきなり結論からいくと、かなりの肩透かしな印象の作品でした。原因は簡単で、オチの”やっつけ仕事ぶり”のせいです。

この映画は舞台劇が基ということで、そのスタイルは「12人の優しい日本人」よろしくの密室会話劇。場面は基本的に(回想シーン以外)一カ所固定で、後はひたすら舌戦を繰り広げるという形式になります。バイト先のマドンナ(戸田恵梨香)から同じ内容の手紙をもらってムラムラした男達が「これは彼氏決定の最終審査だ!」と息巻き、「俺こそが彼女にふさわしい!」と、各々の勘違いっぷりを披露しあう痛々しい姿が最大の見どころで、ただひたすらに観客を笑わせることを目指した役者達の狂騒がエンタテインメントを醸し出すという仕立て。

で、実際のところそのやりとりは結構面白かったです。勘違いナルシスト役の山田孝之の動き、喋り、繋がった眉毛、ランニングからはみ出した胸毛などのモロモロには彼のアビリティーがちゃんと発揮されていたし、佐藤二朗もホント達者で、声のトーンや強弱、間合いの取り方などの妙味がブレンドされた話芸をキッチリ楽しませてくれました。その他メンバーも軒並みOKラインで、観賞中なかなか楽しい気分にさせてもらったのですが、そもそもの発端であり、観客のモチベーションを引っ張り続ける「彼女は何でこんな手紙を出したのか?彼女は誰のことが好きなのか?」という重要な問題の決着が、まるで夢オチレベルのしょーもないモノなので、それまでの時間が一体なんだったのか?という気分にさせらてしまいます。

これで途中経過に「こんだけ楽しませてくれたんならオチとかどーでもいーや!!」と言える程の満腹感があれば文句は無いわけですが、この作品はそこまでの突き抜け感はありません。さらに、その真相にガッカリした挙句に用意されているしんみり展開(Stay GoldというかLife goes onというか?)もとってつけたような感じなため、これで「大洗にも星はふるなり」とかオシャレ風味な台詞を言われても釈然としません。

ということで私にとっては不満感の残る映画だったのですが、途中のやりとりの笑いがハマる(=そこでお腹一杯になれる)人にとっては爽快な気分で笑い飛ばせる作品だと思いますので、自分の感性を試す意味でも「大洗にも星はふるなり」、一度観賞してみてはいいかがでしょうか。

「大洗にも星はふるなり」
公開:2009年11月7日
配給:日活
監督:福田雄一
脚本:福田雄一
出演:山田孝之、佐藤二朗、山本裕典、ムロツヨシ、戸田恵梨香、安田顕、小柳友
上映時間:103分