ロビン・フッド - 40点 △

サー・リドリー・スコットの歴史巨編は年々魅力が衰えています。

<作品紹介>十字軍の射手・ロビン・ロングストライドが、伝説の義賊”ロビン・フッド”になるまでの物語を、映画「グラディエーター」でアカデミー賞を受賞したリドリー・スコット&ラッセル・クロウのコンビが映画化。共演には「ベンジャミン・バトン数奇な人生」のケイト・ブランシェット、「シャーロック・ホームズ」のマーク・ストロング、「シャッター・アイランド」のマックス・フォン・シドーら名優が勢ぞろい。

<あらすじ>12世紀末、十字軍によるフランス遠征中にリチャード王が戦死。報酬が見込めなくなった傭兵のロビン(ラッセル・クロウ)は軍を離脱し、仲間と共に母国への帰路に就いていた。その道中、ロビン達は王冠を届けるためロンドンに向かっていた王の側近ロバート・ロクスリー卿の暗殺現場に遭遇する。そこで今際の際にあったロバートの遺言を聞き入れたロビンは、形見の剣を彼の故郷ノッティンガムに届けるべく北へ向けて旅立つ。この時、彼の出生の秘密に関わる運命が動き始めていた・・・。

「グラディエーター(86億円)」、「キングダム・オブ・ヘブン(109億円)」、「ロビン・フッド(168億円)」と、年々製作費が膨れ上がっているサー・リドリー・スコットの歴史スペクタクル巨編ですが、その金額と反比例して年々つまらなくなってきているこの状況は一体何なのでしょうか?

第78回アカデミー賞作品賞に輝いた「グラディエーター(2000)」は面白かったですよね。理不尽に家族を殺され、奴隷にまで身を落としたローマの英雄であるマキシマス将軍が、その腕っぷしだけで再びローマの地に舞い戻って宿敵を討ち倒す。この一本スジの通った脚本がまず間違いなかったし、主役のマキシマスはもちろん、奴隷仲間のジュバやハーケン、道を指し示すプロキシモ、暴君コモドゥスなど、魅力的なキャラクター達が満載で目が離せなかった。絵画的な美しさを湛えた豊潤な映像はまるで美術館を観覧しているようだったし、大迫力の戦闘シーンは原始的な闘争本能を掻き立てるような野蛮さと美しさに満ちていました。そしてラスト、胸に沁み入るようなカタルシスに心が震えている頃に流されるリサ・ジェラルドの主題歌「Now We Are Free(ついに自由に)」がホント感動的で、「グラディエーター」は文句ナシに楽しかったです。

それがどうしたことか、今作「ロビン・フッド」には「グラディエーター」にあったような映画的魅力のほぼすべてがパワーダウン、ないしはスポイルされてしまっています。

ロビン・フッドの前日譚として、十字軍の一介の射手だった傭兵・ロビン・ロングストライドが、伝説のアウトロー(無法者)になるまでの物語に、マグナ・カルタへと繋がるイングランドの史実をブレンドした脚本は技ありっぽいんですが、褒めるとすればそれぐらい。登場人物の描き込みが中途半端で、ロビン含めた全員が魅力不足な上に、「えっ?なんでそうなっちゃうの?」という説得力の無いストーリー展開に閉口しきり。戦闘シーンも過去作の劣化コピー&血飛沫の演出を完全にサボッててデグレードしてるし、音楽も全然印象に残らない。出てくる悪者のやられっぷりもカタルシスが弱くてストレスが溜まる一方で、頼みの綱の映像美も新鮮さはゼロ。「もう!なんなのコレ!!」という気分で劇場を後にするハメになりました。今作に新作映画を観る喜びはありません。

御大が「グラディエーター」の次につくった歴史スペクタクル「キングダム・オブ・ヘブン(2005)」でも肩スカシを喰らいましたが、今作はそれ以下です。2010年最高の期待ハズレ作品でした。

P.S.
なお、過去作との比較による相対評価で値踏みしたので、この手の歴史スペクタクル巨編を初めて観る方は全然違う印象をもたれるかもしれません。

「ロビン・フッド」
公開:2010年12月10日(金)
監督:リドリー・スコット
脚本:ブライアン・ヘルゲランド
出演:ラッセル・クロウ、ケイト・ブランシェット、マーク・ストロング、オスカー・アイザック、マーク・ルイス・ジョーンズ、マーク・アディ、ウィリアム・ハート、ダニー・ヒューストン、アイリーン・アトキンス、マックス・フォン・シドー、マシュー・マクファディン、ケヴィン・デュランド、レア・セドゥ、スコット・グライムス、アラン・ドイル
上映時間:148分