エクリプス/トワイライト・サーガ - 38点 △

西洋ファンタジー風味で少女漫画的な三角関係を描いた珍作?

<作品紹介>ステファニー・メイヤー原作の世界的ベストセラーを基に、人間とバンパイアの禁断の恋を描きヒットした「トワイライト」シリーズの映画化第3弾。メインキャストは前作同様、クリステン・スチュワート、ロバート・パティンソン、テイラー・ロートナーらが務める。

<あらすじ>人間とヴァンパイアという禁断の壁を乗り越え、愛を誓い合ったベラとエドワードに新たな試練が訪れる。エドワードに恋人を殺された敵ヴァンパイアのヴィクトリアがベラの命を狙っていたのだ。ヴィクトリアが誕生させた凶暴なヴァンパイア軍団の危機が迫る中、このままではベラを守りきれないと悟るエドワードだったが、事情を知ったオオカミ族のジェイコブが味方に加わる。一族の掟を破り、ヴァンパイアと手を組んでまでもベラを守りたいと願うジェイコブの一途な愛・・・。ヴィクトリア軍団との全面戦争を前に、ベラの恋心は揺れ動き、究極の三角関係が激しく燃え上がる!ヴァンパイア族とオオカミ族を巻き込んだこのラブストーリーはどういう結末を迎えるのだろうか!?

「エクリプス/トワイライトサーガ」は、例えるならハリウッド版「花より団子」とでも言いましょうか。一途な愛を捧げる二人の男の間で少女の心が揺れ動くという、頭にお花畑が広がっているようなメルヘンチックなお話でした。今作が持つヴァンパイア一族vsオオカミ一族という西洋ファンタジー風味の世界観は、あくまでもこの三角関係を盛り上げるための舞台装置にしかすぎません。

そして驚くべきことに、この映画はホントにお花畑シーンに始まりお花畑シーンで終わります。花々に囲まれる中で、エドワードとベラが見つめ合いながら、「愛してるよ・・・」「私もよ・・・」「結婚しよう・・・」「ダメよ、だって・・・」といった甘い睦言を延々と繰り返す。つまりコレは大真面目に少女漫画をやろうとしてるんですよね。だからそのコト自体を「くだらない」とツッコむのは無粋。美しくありません。

この映画で展開される恋愛は、ヴァンパイアと人間という許されざる禁断の様式に、その愛の成就にはベラのヴァンパイア化が必要であるという代償を纏わせ、その苦悩を知るエドワードの葛藤をスパイスにしつつ、さらにそこへ恋敵を放り込むという、二重三重にわたる”ややこしさ”を孕ませた、「私のためにケンカはやめて」形式の三角構造を持っています。だから観客はいつでも萌えられるような心構えで「この三人、一体どうなっちゃうのかしらん?」とドキドキしながら行く末を見守るのが正しい鑑賞法なのだと思います。そこまではわかったのですが、もしそうなのだとしても文句があります。

*以下、ネタバレ含む

文句は明確で、ベラがエドワードとジェイコブの間で揺れ動いてるように全然見えないんですよね。前作までの流れがあるからベラがエドワードにゾッコンなのはイイとして、三角関係を盛り上げたいのならばまず早々に「ジェイコブ素敵!」と思わせるような見せ場を描いてベラの恋心の揺らめきを表現しなくちゃダメですよ。

そういう描写がないまま終始エドワードとのラブラブを見せつけられるので、ジェイコブがどんだけ頑張っても「勝ち目ねーじゃん!」という感じですし、言い寄られるベラの演技が下手なので、揺れ動いてるというより単に迷惑がっているような顔に見えてしまい、終始ジェイコブがただの痛いヤツに見えてしまっています。

挙句の果てには「俺と付き合った方がこんなにお得だ」みたいなことをジェイコブに言わせちゃうので。今作単体でみたまんま登場人物を解釈するなら、ジェイコブは痛いだけの非モテ野郎で、ベラはその恋心を弄んで利用するビッチですよ。三角関係萌えってのは”究極の選択”的な悩ましさがなくてはダメでしょう。私にはそれが全く感じられなかったため、全然萌えられませんでした。

そんな調子で、とにかくベラの心の揺れ動き表現が不完全なため、今作最大の見せ場である終盤、ついにベラがジェイコブへの想いを吐露するシーンが全然心に迫ってきませんでした。むしろ唐突すぎて「は?何それ?」という感じ。こういう文脈の積み上げ不足は物語をバカバカしいものに貶め、気分をシラケさせます。非常に残念でした。

では、それ以外の要素はどうだったかというと、他のパートにも特筆すべき褒めポイントは見当たりません。まずカメラワークが全然ダメです。全編通して被写体との距離の取り方がヘタで顔のアップばっかり。特に会話シーンが酷かったです。ほぼすべて喋ってる人物にピントを合わせた顔のどアップ&画面の端っこに聴き手をボカして入れるというベタな構図。会話シーンは本当にこのショット一辺倒で気が遠くなりそうでした。(*ファンは顔だけずーっと見ていたいのかもしれないのですが・・・)

あとアクションシーンがすごいカッコわるかったです。今作はアクションが少ないので、見せ場らしい見せ場といえば終盤の大合戦シーンですが、なんかやたらラリアートかますんですよね・・・。カメラをガチャガチャ動かしてわけがわからない混戦の中で、とにかくラリアートをかまして首をボキッと折る。こんなショボイ乱闘シーンは久々にみました。勘弁してください。

しかも、この大合戦を前にして味方ヴァンパイアの手練が後輩ヴァンパイアとオオカミ族に”特訓”と称して攻略法を伝授するのですが、そこで語られた内容が完全に無視されてて、「正面から向かっていくな」と言っいてた張本人が思いっきり正面からラリアートかますので「ちょwおまww話が違くね!?」って感じで笑っちゃっいました。ま、そういうのも楽しいからイイんですけどね。

とかなんとかで、さんざんぱら文句を言ってきましたが、こういう風にツッコミ入れるだけで結構楽しいし、お客さんはホントいっぱい入ってたので、いい映画なんだと思います。気になる方は是非ご観賞ください。

「エクリプス/トワイライト・サーガ」
公開:2010年11月6日(土)
配給:角川映画
監督:デヴィッド・スレイド
原作:ステファニー・メイヤー
脚本:メリッサ・ローゼンバーグ
出演:クリステン・スチュワート、ロバート・パティンソン、テイラー・ロートナー、ダコタ・ファニング、ブライス・ダラス・ハワード
上映時間:131分