桜田門外ノ変 - 2点 ✕

古臭い演出に悶絶しきりの137分。ダサイ映画です。

<作品紹介>歴史的大事件「桜田門外ノ変」を、「男たちの大和/YAMATO」の佐藤純彌が映画化した時代劇。幕末の世、尊王攘夷を掲げる水戸藩士・関鉄之介は、開国を推し進める幕府大老の井伊直弼を討つために故郷を捨て、襲撃部隊に加わった。襲撃当日、大雪の降る桜田門外での死闘により、ついに井伊の首を取ることに成功したが、大老襲撃と同時に挙兵するはずの薩摩藩の裏切りによって計画は頓挫してしまう。幕府はもちろん、かつての同胞からも追われる立場となった鉄之助の運命やいかに―。

「冒頭に襲撃シーンを見せ、後からそれに至る経緯を描く」という、物語構成の斬新さが話題の今作ですが、そういう問題以前に演出が古臭すぎて観ていられませんでした。全編に渡るダサイ演出に悶絶しきりの137分間に、最後は眩暈を覚えたほどです。先月観て衝撃を受けた「十三人の刺客」の影響もあり、お門違いのハードルを上げて観てしまった感もあるのですが、それを差し引いてもコレは酷いです。

まず何よりも酷いのが、説明のために乱用されるナレーション&テロップ。これが全編に渡って挿入されて、”5分に一度”は入ってるんじゃないかいう乱発ぶり。しかも中には、わざわざ画面を一時停止してナレーションを流すという仰天演出も何度かカマしてきます。まさか2010年にもなってこういうモノを見せられるとは思っていなかったので、最初は映写機の故障と勘違いしたくらいです。

最大の見せ場である桜田門外での襲撃シーンも実に陳腐でした。佐藤純彌監督は時代劇が初めてだそうですが、この殺陣は何とかならなかったのでしょうか?「おい!さっさと斬れよ!」みたいなへっぴり腰が多すぎて興醒めです。なにやら監督は「血糊を大量に使った。もし多すぎたら後で消せばいいし」と、さもエグい絵をつくったかのような発言をなさってますが、こっちはもっと過激なバイオレンス表現を見慣れていますので全然ヘッポコに見えました。(*このへっぴり腰の理由が「幕末の侍は実際に人を切ったことがないからだ」というのなら、切った人間が「自分のしてしまったことに恐れおののく」みたいなシーンを入れなければダメです)

また、死んだ人間をイチイチ細かく描写するのも鬱陶しいです。死に様を一人づつ抜いて画面を一時停止。テロップで「○○藩士・××衛門 自刃 1860年3月2日 享年二十歳・・・」とか流すんですけど・・・心底かったるくてしょうがありませんでした。なんなんでしょうかこの鈍臭さ&古臭さは。

幕府に捕えられた鉄之介(大沢たかお)の女への拷問シーンも酷かったですね。そもそも物語的に全く重要じゃないのに、あんなに執拗に拷問を描く神経が理解できません。泣き叫ぶ女の腹をバンバンに殴って、水ぶっかけて、石乗っけてネチネチ虐めるシーンをみせつけて最後ぶっ殺すって、どんだけサディストなんですか?個人的な趣味が入ってるとしか思えません。それが劇中2回もあるんですから心底胸クソ悪かったです。

後で読んたインタビューによると、この監督は「暴力を正当化する映画は撮らない」というポリシーを持っているそうで、「襲撃シーンをクライマックスに持ってくると、政治テロを肯定してしまう」という考えから、襲撃シーンを冒頭に持ってくるという構成にしたらしいですが、そんなこと言うヤツがどのツラ下げてこの拷問シーンを撮ったんでしょうかね?

え?何?「逆に残酷に描くことによって暴力を否定してる」って?あ、そーすか。私には全然伝わってきませんでしたよ。っていうか襲撃シーンについてセコいリスクヘッジをするなら拷問もやめろよホント(怒)。

*以下、ネタバレ・・・っていうかなんていうか

そして究極的に酷かったのが、終盤で捕まった襲撃メンバー7人が死罪を言い渡されるシーン。ここでお奉行さまみたいのが処罰を言い渡した後、「立て!ひったてい!」と言って罪人を斬首場に連れ出す様を7人分流すんですが、信じられないことに、「立て!ひったてい!・・・立て!ひったてい!・・・」と、まったく同じ台詞と演技を7回も繰り返すんですよ!?みなさん信じられますか?7回ですよ7回!?しかも当然、全員分のテロップ付きです。一体何を考えいるのか・・理解不能です。

映画が終わったあと、私の傍で観ていたご夫婦は「あのシーンを頭にもってきちゃったからねぇ・・・」と仰っていましたが、最初にショッキングな襲撃シーンを持ってきて観客の心を鷲掴みにし、「どうしてこうなってしまったのか?」を説明していくという構造自体はわるくないので、この映画がダメな理由はやっぱ監督のセンスの無さだと思います。

ということで、見苦しい演出の数々に目が曇ってしまいまして、監督が伝えようとしてる事を読み取るもクソもなく・・・ただただ悶絶しきりの苦痛な時間でした。むしろあの演出をスルーできる人がこの映画から何を感じたのかお聞きしたいくらいです。

「桜田門外ノ変」
公開:2010年10月16日
配給:東映
監督:佐藤純彌
脚本:江良至、佐藤純彌
出演:大沢たかお、長谷川京子、伊武雅刀、北大路欣也
上映時間:137分